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頭痛について

頭痛

 たかが頭痛とご自身でも周囲の方からも思われていませんか?頭痛患者さんは4000万人(日本)で、頭痛による日本での経済損失は、2兆3千億円とも言われています。頭痛発作時には仕事を休んでしまうことや頭が回らなくなり、労働遂行能力の低下がみられます。さらには頭痛がない時にも頭痛が起きてしまうのではないかという不安により予定を断ってしまい(予期不安)、生活に支障が出てしまいます。

 片頭痛患者さんを例にとれば、頭痛以外に光過敏や音過敏、臭い過敏といった普段気にならない光・音・臭いがとても嫌に感じることがあります。

 「痛み止めを飲んで寝ていればいいや」というところから、少しでも頭痛回数を減らすことや、一回の重症度を減らすこと、日常生活に支障を来さないことを目標に治療を行います。

​頭痛の種類

・一次性頭痛 (いわゆる慢性頭痛 何回も繰り返し起こる 原因が特定できない頭痛)

緊張型頭痛・片頭痛・三叉神経自律神経頭痛(群発頭痛など)

 

・二次性頭痛(原因のある頭痛)

くも膜下出血・髄膜炎・脳腫瘍による頭痛 など   

*MRI等の検査により診断となります。

当院では一次性頭痛、薬剤の使用過多による頭痛を診療し、二次性頭痛の鑑別が必要な場合には他院へ紹介させていただきます。

​  片頭痛 (推定人口840万人)     

 典型的には片側の脈打つ頭痛で、前兆として頭痛の前にキラキラとしたものがみえる閃輝暗点が特徴とされています。

 しかしながら、片側で脈打つ頭痛でなくても片頭痛と診断できる場合が多くあります。また、前兆がある方は、片頭痛の30%程度と言われています。片頭痛は予兆期・(前兆期)・頭痛期・回復期にわかれます。予兆期には感覚過敏としての肩こりが出現することが多く、緊張型頭痛と誤診されることが多くあります。また片頭痛は頭痛だけではなく、感覚過敏の症状や嘔気・嘔吐などの症状があり、日常生活を制限してしまうこともあります。誘発因子は人それぞれで、寝不足や寝過ぎ、ストレス、天気、月経周期など幅広くあり、自分の頭痛を理解することも重要です。動くと辛い、どちらかと言えば寝ていたい頭痛は片頭痛かもしれません。

 片頭痛診療はここ数年で大きく変化しました。急性期治療薬は片頭痛治療薬であるトリプタン製剤の他、血管収縮作用のないジタン系薬剤(レイボー® )が登場しています。また予防治療は、内服治療・漢方・理学療法・認知行動療法が重要ですが、2021年に片頭痛の頭痛期における重要な役割と考えられているCGRP(カルシトニン関連ペプチド)の働きを抑える皮下注射製剤が保険適応となりました。当院では、CGRP製剤​(アイモビーグ®、アジョビ®、エムガルティ® )も取り扱います。

 頭痛診療ガイドライン2021では、片頭痛の予防治療は「片頭痛発作が月二回以上、あるいは生活に支障を来す頭痛が月3回以上ある場合に予防療法の実施について検討してみることが勧められる」とされています。当てはまる方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。月4回以上の片頭痛発作は、慢性化する可能性があります。この程度だからと考えず受診ください。

薬物療法

・急性期治療 (痛いときに使う薬)

      いわゆる鎮痛薬、片頭痛治療薬(内服薬・点鼻薬・皮下注射)

・予防治療 (回数や、一回の重症度を減らす薬)

                 内服薬・漢方薬・皮下注射製剤(4週orひと月or12週/回)

非薬物療法

 生活指導、頭痛体操、認知行動療法など

片頭痛の前兆

閃輝暗点

Hubert Airy,1870

​  緊張型頭痛

 緊張型頭痛は、軽~中等度の頭痛であり、帽子で締め付けられるような両側性の痛みを特徴とします。痛みの部位は前頭や後頭部、頸部にも生じます。はじまりは頻度が少なく、生活支障も少ないのが典型的ですが、慢性化してしまうと非常に難治性となります。そのため早期介入が重要となります。慢性化してしまうと後述する「薬剤の使用過多による頭痛」となる可能性があります。

 

・薬物治療

急性期治療薬 アセトアミノフェンやNSAIDs​(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)

予防治療   内服薬(筋弛緩薬、抗うつ薬)

 

・非薬物治療

 理学療法(体操やマッサージ、頭痛体操など)、認知行動療法

​  三叉神経自律神経頭痛

 片側の頭痛(突き刺すような、えぐられるような痛み)に自律神経症状(同じ側の 瞼がたれる、涙が出る、鼻水がでる、鼻が詰まる、汗がでる、興奮状態)を伴う頭痛。短いものから長いものまであり、15分~180分のものを群発頭痛と診断します。

 

(群発頭痛の場合)

・急性期治療

                 スマトリプタン皮下注射など、在宅酸素療法

・予防治療

                 Ca拮抗薬などの薬物治療、生活指導(禁煙・禁酒)など

​  薬剤の使用過多による頭痛

 頭痛患者さんが、1種類以上の急性期治療薬(痛み止め)を3か月以上定期的に使用(月に10日もしくは15日以上)している場合に診断となります。アセトアミノフェン(カロナール®),ロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDsでは15日以上、トリプタン製剤(片頭痛治療薬),複合鎮痛薬(SG顆粒®などや市販薬の一部)では10日以上と定められています。

 治療は基本的には断薬となりますが、片頭痛がベースであった場合にはCGRP皮下注射製剤での効果が認められています。断薬すると、反跳頭痛(1週間程度で頭痛が増悪)が見られることがしばしばあります。CGRP皮下注製剤の効果がみられれば、無理なく内服回数を減らすことが可能になります。その他内服薬や漢方を使用することもありますので、相談しながら治療を行います。

​ 薬を飲みすぎているなと感じている方は一度ご相談ください。

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